体外受精・顕微授精は、
「身体の外へ卵子を取り出し、精子と掛け合わせ受精卵を作り、分割し成長した胚を女性の子宮の中に戻す」
治療です。
体外受精は、両側卵管閉塞の方のために出来た治療です。
両側の卵管が閉塞していると、精子と卵子は出会うことができず、妊娠の可能性は0となります。
そんな卵管閉塞のご夫婦に妊娠の可能性を生み出すために作られた治療が体外受精というわけです。
しかし、現在は体外受精を希望すればどんな方でも受けることができる治療となっています。
これは、「卵子を取り出し受精卵を作り子宮内に戻す」ことで、妊娠のほとんどの過程を外で行うことができるため、不妊問題の多くを解決することができるからです。
受精卵を戻すことができれば、あとは着床さえうまくいけば妊娠につながりますので、多くの方が体外受精を希望されているのが現状です。
体外受精の妊娠率は高くて40%程度です。
そんなに妊娠率が高くならないのは、もともとが卵管閉塞の治療として確立した治療だからです。
結局は、着床がうまく行かなければ妊娠しない、というところが、今後の不妊治療の課題になると思います。
顕微授精は、男性不妊の方のために出来た治療です。
射精された精液内に精子が全くいなければ妊娠しません。
この無精子症の方のために出来た治療が顕微授精です。
体外受精では、取り出した卵子に精子を振りかけて、精子の力で卵子の中に入り受精卵となりますが、顕微授精では、見た目状態のよさそうな精子を選んで卵子の中に直接注入して受精卵を作るのが顕微授精です。
無精子症の場合は、その精子を精巣から取り出すことができるため、顕微授精により妊娠の可能性を導くことができます。(精巣内にいない場合は顕微授精はできません。)
顕微授精は体外受精を繰り返した後、ステップアップの治療ではありません。
体外受精で受精卵が十分に得られる場合は、顕微授精へのステップアップが本当に意味のあることなのかをしっかりと見極める必要があります。
胚移植には採卵周期に一度も凍結せずに戻す「新鮮胚移植」と、一度凍結した胚を融解して別の周期に戻す「凍結融解胚移植」の2通りの方法があります。
日本では凍結融解胚移植のほうが成績が良いと発表されています。
また、胚の成長によって、「分割期胚移植」と「胚盤胞移植」にも分類されます。
日本では胚盤胞移植のほうが成績が良いと発表されています。
よって日本では「胚盤胞の凍結融解胚移植」を行う病院が増えており、出来るだけ効率よく胚移植をしていこうという動きがみられています。
更に胚移植では、1個戻すか2個同時に戻すか、なども重要です。
日本産婦人科学会では「原則として1個戻すこと。ただし、数回繰り返しても妊娠に至らない場合は2個までは戻してよい」とされています。
2個戻す方法には、同じ周期に分割期胚と胚盤胞を移植する「2段階移植」という方法もあり、妊娠率の向上が期待されます。